薪を燻煙してみる

当地では薪のもとになる木は敷地内で十分まかなえます。しかし、薪の内部を食べ進む虫に毎年悩まされます。カミキリムシやキクイムシの類と思われ、その糞が粉状になって出てくるのがやっかいなのです。特に細めの薪が被害にあいやすいようです。
いろいろ対策を試みてはいますが、今のところ成功していません。燃やすのには差し支えないとはいえ、なるべくホコリを室内に持ち込みたくありません。そこで、新たな方策として薪を燻煙してみることにしました。


以前から宿題になっていた燻煙庫をようやく作ったので、このところいろいろ試験中です。胸肉を熱燻(80℃から120℃ぐらいで燻す)してみたところ、なかなか上出来でした。ここに薪を入れて「熱燻」してみたわけです。


通常の燻煙ではガスコンロのような熱源と煙を出すウッドチップやを使いますが、ここでは両方を兼ねて落葉広葉樹(コナラ・クヌギ)の小枝を燃やしています。温度のコントロールに少しコツがいりますが、火床から燻煙庫まで50cm以上の距離があるので何とかなります。


今回のテストでは夕方に1時間半ほど熱燻した後そのままにしておいて、翌朝に取り出しました。燻煙した薪が虫に食われにくいかは来年の今頃にならないとわかりません。ですが、乾燥させる効果ならすぐに評価できます。
せっかくですから、ちゃんとデータを取ることにしました。半割にした細めの薪と割らずに切っただけの薪をぞれぞれ12本ずつ用意して燻煙前と燻煙後に1本ずつ重さを測りました。さらに、同様に別の12本ずつを用意して丸1日晴天下で天日干しした場合の重さの変化も測りました。いずれも割ったばかり、切ったばかりのクヌギです。
まず、天日干しです。半割の薪の重さは平均で3.6%の減少(標準偏差0.5%、以下±後に示す)だったのに対して、切っただけの薪では1.3% ± 0.3%でした。樹皮からは乾きにくいので、切っただけだと自然乾燥が進みにくいことがわかります。
さて、燻煙でどれぐらい重さが減ったでしょうか。半割の薪で9.0% ± 0.8%、切っただけの薪で9.4% ± 2.9%でした。やはり天日干しより早いペースで乾くのと、切っただけの薪でも割った薪と同じペースで乾くことがわかりました。ちなみに、その後天日で1日干したところ、半割で1.3% ± 0.4%、切っただけだと0.6% ± 0.4%の減少となりました。
ということで、燻煙は乾燥させる効果も悪くないようです。熱源には薪にできない細い枝を使っているので無料です。手間はかかりますが、慣れれば他の作業の合間にでもできそうですから、もう少し大量に燻煙してみて1年後に虫除け効果を評価してみたいと思います。